カンタータ第24番《何物にも染められていない心》

 今日も暑いですね。今年(2017年)の梅雨は、北九州で記録な大雨になり被害の模様が連日報道されていますが、私の住む千葉では、雨がほとんど降らず、30℃を越える日々が続いています。

 さて、バッハについて定期的に書いているこのサイトですが、彼が過ごしたドイツにも梅雨はあるのでしょうか。気になって調べてみたところ、とある観光サイトにはこの時期のドイツの気候について「6月、7月は日本のような梅雨はなく、爽やかで快適に過ごすことができますと書いてありました。

 三位一体後第4日曜日は日本でいうところの梅雨の時期にやってきます。BWV24はバッハがこの日のために1723年に作曲したカンタータです。ライプツィヒにやってきてまもなくは大規模なカンタータを続けざまに作曲していたバッハでしたが、ここではややこじんまりとした構成を採っています。

 始めは4分の3拍子のメヌエット調のテンポ感が、爽やかなドイツの初夏にぴったりなアルトのアリアです。ヴァイオリンとヴィオラがユニゾンで刻むメロディーの温かみにグッときます。冒頭の歌詞にある「何事にも染められていない心、ドイツ人らしい誠実さと善意」が曲調に表れていると言えるでしょう。続く、レチタティーヴォは「実直さは神の贈り物の一つだが、この時代にはほとんどの人が持っていない」という嘆きがテノールによって語られます。そして、最後の部分でアリオーソとなり、合唱になだれ込んでいきいます。ここではオーボエ2本とクラリーノが加わって響きを補強しています。しかも後半はAllegro vivaceのフーガになるという変化に富んだ展開を見せます。歌詞はレチタティーヴォの内容を受け「あなた方が人々にしてもらいたいと望む事、それをあなた方は人々にしなさい」という隣人愛を説いています。

 第4曲のバスによるレチタティーヴォは、偽善について語ります。切迫感がある曲調です。悪魔(ベリアル)は「狼の毛皮を裏にして、羊の毛皮を表に見せている」という表現はわかりやすいですね。作詞のノイマイスターの力量です。ここでも最後はアリオーソ・アンダンテとなり、続くテノール・アリアにつながります。アリアは2本のオーボエ・ダモーレが模倣したり、重なりあったりして進んでいきます。ここでは「外側の言葉と口のように、内側の心もそうであれ」と歌われます。まさに2本のオーボエ・ダモーレの動きそのものです。最後のコラールはリトルネッロがついています。波打つような音型で美しく、カンタータは締めくくられます。