サラ・モリス  線上の各点

Sarah Morris "Points on a Line"(2010)

能勢陽子(豊田市美術館)第4回恵比寿映像祭「映像のフィジカル」レポートより抜粋

「映像と物理的な空間との関係を考えるうえで、地下1階には「建築と映像」というテーマが与えられていたが、なかでも気になったのは、サラ・モリスである。《線上の各点》は、ミース・ファン・デル・ローエファンズワース邸フィリップ・ジョンソンのガラスの家、そしてミース設計、ジョンソンがおもにレストランとバーのインテリアを担当したシーグラムビルを軸に、内部の調度やそこに交差する人々を含めて丹念に撮影されている。そこには名立たる建築家の名前がいくつも目に付くアドレス・ホルダー、レストランで食事をする着飾った人々や調度品などを丁寧に磨き上げる人々が、精度の高い映像と音響で映し出され、その場に立ち会っているかのような臨場感を与える。そこで浮かび上がるのは、アメリカ人の素晴らしいライフスタイルの舞台となっている名建築の姿であり、建築が担う社会的権威付けとしての役割である。」

  http://artscape.jp/report/curator/10023011_1634.html

サラ・モリス Sarah MORRIS

 

1967年イギリス生まれ、ニューヨーク・ロンドン在住。 色鮮やかなグリッドによる幾何学的な抽象絵画で知られ、壁画などのパブリックアート作品も多い。フィルム作品では独自の視点で都市風景の断片を切り取り、再構築していく。その作品は建築的に記号化された都市の政治的、社会的な構造を捉え、その深層を露わにする。サンパウロ・ビエンナーレ(2002)などの国際展への参加も多く、パレ・ド・トーキョー(2005年)、バイエラー財団美術館(2008年)など世界各地で大規模な個展が開催されている。ー2012第4回恵比寿映像祭HPよりー