読書『たのしい写真 よい子のための写真教室』

写真については、心得のまったくない私であるが、鑑賞するくらいは適当にするので、一冊くらい本でも読んでいいかなと手にしたのが、『たのしい写真 よい子のための写真教室』(平凡社)である。2009年6月初版とある。タイトルに「教室」とあるように、各章は次のように並んでいる。

 

第一章 講義篇

第二章 ワークショップ篇

第三章 放課後篇

第四章 補習篇

  読むと短いコラムの連続で小気味よいし、生態心理学者やアラーキー、堀江敏幸などとの対談も収録されていて、内容も柔軟でおもしろい。カメラの種類や技術の話になると、私には少々わからないところもあるが、決して読みづらくはない。

 

 本書では、しばしば「決定的瞬間」派と「ニューカラー」派の撮り方について、さまざまな角度から技術的な、そして世界観の相違を取り上げている。代表者としてカルティエ・ブレッソンW.エルグルトンの作品がよく例に登場している。作者のホンマタカシはニューカラーの表現を得意としているため、そちら側の掘り下げ方はより深い。例えば、「アフォーダンス」の考え方を取り上げ、ニューカラーとの関連を試みている。

 

 「写真とは、真を写すわけではない」という視点も一貫して貫かれている思想だ。特に、学生を交えてのワークショップでは、鑑賞者を揺さぶるテーマ、背景、素材、物語が詰まった作品が揃っていて興味をそそる。作例A「全然関係のない男を彼氏とする」とかタイトルからしていい。

 

 後半の方は、コラムとエッセイ、インタビュー、推薦本やDVDも載っている。謎の山岳写真家寅彦を追ったドキュメンタリーでは、前時代的な山籠もり?男の野性的英知をコミカルに描く。ライカVSミノックスの写真比較では短い文に、見開きの左右に各々の写真を配置する巧みなレイアウトで両者の特徴を直感的に理解させてくれる。

 

写真の撮り方、観方を遊び心をもって教えてくれる一冊である。