ベートーヴェン:交響曲第2、8番 / ガーディナー(2013) SDG721

SDG721
SDG721

第3楽章に初めてスケルツォと表記した第2番と、そのスケルツォをあえてメヌエットに戻した第8番のカップリングを、2013年11月30日のガーディナーたちによるライブ録音で聴く。

 

ガーディナーのアルヒーフでのベートーヴェン交響曲全集は手兵のオルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティーク(ORR)が結成間もない時期の録音なのにもかかわらず、商品としての絶対的な完成度を追求していて、あらゆる点で立派なように思えた。久しぶりに棚に並んだ銀色の背をした輸入盤を取り出して聴いてみたのだが、やっぱり立派だった。装丁の美しさ、音質の良さ、音楽の充実度には驚くばかりである。

一方、約20年ぶりとなった今回の再録音はセンスのよい簡単な装丁で出来ている。

第5、7番の再録音はカーネギー・ライヴであったが、これはカドガン・ライヴで録音チームも多分違う。つまり、アルヒーフ盤が目指したものとは決定的にコンセプトが違っている。

いきなりこんなことを書くと唐突だが、音楽とは瞬間の芸術である。同じ音楽は二度と鳴らない。

そのドキュメントとしての音楽を記録することにかけて、ガーディナーという音楽家はかなりの実践経験を積んできている。実際彼の最近の録音を聴くと圧巻の仕上がりのものが多い。

もしかするとガーディナーら製作チームは、作り込まれた商品としてのベートーヴェンもいいが、ある日ある場所での記録されたベートーヴェンもいいではないか?製作費が無いからライヴ録音で済ませてしまおうという音楽市場の流れの中で、むしろそのスタイルの方が音楽的なものを自分たちは生み出せるではないか?というような考えにいたったのではないかと私は思えたのである。

 

さてその演奏だが、圧倒的にノリがいい。それでいて乱暴なリズムの強調がまったくなく、むしろしなやかな呼吸があり音楽的に美しい。速さという点において言うなら、第2番はアルヒーフ盤より全体で2分弱も速いテンポで演奏しているのだが余裕がある。技術的にも最高であろう。ノリのいい軽いベートーヴェン、でも正確に表現するなら、突き抜けた知性と感性が発散されたノリのいい軽いベートーヴェンである。